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群馬の技一番
山田 久美子さん
所在地  富岡市
受賞年度  平成20年
美容師業務に従事し、ヘアカットやブロー等の仕上げ技術はもとより、ヘアスタイルのニューモードを生み出すなど、世界レベルの技能を有している。

また、後進技術者の育成・指導にも尽力している。
美容師
山田 久美子
さん

群馬から一番を発信する

「美容師の仕事は本当に楽しい」
「美容師の仕事は本当に楽しい」
ベリーショートのヘアスタイルをロングヘアのような優美なアップスタイルに仕立てる、道具を使わずに手とドライヤーだけで髪をセットし繊細で自然なカールヘアを生み出す―通称「山田テクニック」と呼ばれる技術を持ち、1996年には世界チャンピオンにも輝いた美容師・山田久美子さん。現在は指導・講演活動のため全国各地に赴き、全国大会上位入賞者を毎年のように輩出している。

そんな山田さんの原点は群馬にある。「根本的に山育ちだから。朝起きるとホッとする、だから都会には住めない」と、移動に便利な東京ではなく、生まれ育った群馬の地に店を構え続けている。

絶対に毎日練習する

修業時代に磨いたアップスタイルの技法
修業時代に磨いたアップスタイルの技法
山田さんが美容師を志したのは保育園に通っていた頃。「いつも家族のために髪の事など考えず働いていた母の髪がどんどんきれいになっていく美しさを見て、 自分もこんな人になりたいと思った」。その思いは変わらず、中学校を卒業後すぐに横浜の美容室で見習いとして勤めはじめた。「絶対に毎日練習する、絶対にここをクリアするまでは寝ない。それを繰り返した。でも、それが苦しいわけじゃなかった。好きなことだから」と、当時の生活を振り返る。

修行の中で一番記憶に残っていることは、常連のお客さんのアップスタイルを作り続けたこと。「気に入ってもらえず、その場で髪をほどかれたこともあった。それでもまた来てくれた。お客様に育ててもらったと思う」。その後、修業を終え帰郷した山田さんは、県内の美容室で勤めたのち25歳の若さで自分の店を構えた。

十人いれば十人のやり方がある

ヘアショーで実演する山田さん
ヘアショーで実演する山田さん
開業した翌年、組合から大会への出場を持ちかけられ日本チャンピオンに輝いた山田さん。「世界一になりたい」―そこから挑戦が始まった。

最初に出場した2年間のシーズンでは数々の国際大会に出場したものの、当時は日本の技術は評価されず入賞すら果たせなかった。そのため、数年後再び出場したシーズンでは最終戦が団体戦であることを意識し、山田さんは自分の練習の時間を割いてメンバーの指導に当たりながら大会に臨んだ。その甲斐もあり、日本チームは順調に勝ち進んでいったものの「指導にあたり自分のやり方を見失った時期もあった。途中の大会では年下のメンバーに逆転され、悔しさで自分の仕事ができなくなったこともあった」という。

そんな山田さんが立ち直ったのは、最終戦である世界理美容技術選手権大会(1996年・ワシントン)の最中のこと。トレーナーや他国関係者の言葉で「自分たちの仕事はお客さんやモデルの魅力を引き立てること」と目を覚ましたという。限られた時間の中、デザインをモデルに合わせて一から見直し、すでに出来上がっていたヘアピースも作り直した。その結果、山田さんは世界で最も権威のある同大会で団体優勝を果たし、個人ポイントでも一位に輝いた。

感動を求め続けて

「実際に手を動かしてみることが大切」と後進に指導する
「実際に手を動かしてみることが大切」と後進に指導する
世界チャンピオンに輝いた山田さんは間もなくして競技生活から退き、現在は後進の育成に力を注いでいる。「私たちは整形外科医ではないから、顔を小さくすることも首を長くすることもできない。でも、ヘアスタイルで錯覚を起こさせることはできる」―指導する際は最初にこの言葉を口にし、美容師の仕事の本質を伝えようとしている。

新しいヘアスタイルの提案にも日々取り組んでいる。「他の美容師の作品ではなく、鳥や蝶などの自然からヒントを得ている」という。幼い頃、山や川遊びばかりしていたという山田さんならではの視点といえる。

その一方で、サロンでの仕事が一番好きだと答える山田さん。「お客様が頭を洗ってもまた再現できるような仕事をすることがいつも目指すところ。そこは発展途上だと思う。『髪の毛ってこんなことができるんだ』という感動がある美容師の仕事は永遠にやり続けたい仕事」。
若者へのメッセージ
「人間が好き。人が好き。美しいものが好きな人に向いている」

「今の子の方が感性が豊かな時代に育っている。コツコツやれば仕事は覚えられる。ゆとりをマイナスではなくプラスに受け取ってほしい」

「一段一段塗りつぶしていくように階段を上って行かないと一つの仕事は覚えられない」

「店を辞めるのはいい。でも、美容師を辞めるのはもったいない。人間対人間だから合わないところは合わない。自分を活かせるところに行けばいい」

「私は枠をはみ出してきた方。もっとはみ出していい。ブルーに塗れと言われたら、黄色を混ぜたり赤を混ぜたりしていろんな色にしてみたら楽しい世界が待っている」