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群馬の技一番
所在地  太田市
受賞年度  平成28年
婦人服仕立ての技能に優れ、特に薄物の素材を使用し立体裁断技法でドレープの美しさを施したドレスに仕立てる技能は業界内で非常に高い評価を受けている。若い技能者とともに、洋裁技能の振興に努めるとともに、地域の中学生の職場体験を受入れるなど、多くの若年者に対してものづくりの楽しさを伝えている。
婦人・子供服注文仕立て職
須永 正江
さん

幼少期

自身の作品とともに
自身の作品とともに
須永さんは、3歳のころ、脊髄カリエスを発症し、自力では歩けず、防空壕の中で治療を受けたこともあった。小学校にはほとんど登校できず、他の子どものように外で遊んだり、走り回ることもできなかった。そんな須永さんが夢中になったのが、洋裁であった。病床にある須永さんに、両親が布、針、糸をたびたび持ってきてくれた。須永さんは、両親に感謝しつつ、洋裁の道で生きていくことを心に決めた。

独立まで

グリュオーモード・マヤ前にて
グリュオーモード・マヤ前にて
中学校卒業後、上京し、住み込みで修行した。厳しい徒弟制度のなかでの修行であった。19歳のとき病気が再発し、右腕切断を医師に宣告された。右腕を切断すれば、洋裁をあきらめなくてはならない。しかし、洋裁で生きていこうとする須永さんを後押しした父が右腕切断手術を断った。その後も、病気と闘いながら、洋裁学校で学び、23歳で独立、太田市に店を構えた。

研鑽

般若心経と観音経をしたためた作品
般若心経と観音経をしたためた作品
その後、須永さんは研鑽を重ね、「人と違う作品づくりを目指してきた」という。洋裁のため、華道、茶道、書道、墨絵、俳句も習った。ゆったりとしたひだを入れる「ドレープ」仕様の洋裁を得意とし、数々のコンクール入賞の常連となった。日本洋装協会のコンクールでは内閣総理大臣賞を受賞した。神戸で開催された洋裁のアジア大会には般若心経と観音経を自らしたためた作品を出品した。
また、現在も日本洋装協会副会長として、数多くの若い洋裁技能者とともに、洋裁業界の発展に尽力している。須永さんは「若い方達がお店を訪ねてきてくれて、おしゃべりするのが何よりも楽しい」と笑顔で話す。

これからの夢

すすきの穂で作った筆にて「感謝」
すすきの穂で作った筆にて「感謝」
須永さんは、まだまだ大きな夢をいだき続けている。「洋裁教室を月に2回位開催したい。ファッションショーを開催したい。若い人の人材育成もやっていきたい。人生には限りがあるが、これからもよい仕事をやっていきたい。」
・あきらめないで

・自分の感性を信じてコツコツとやってほしい