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群馬の技一番
所在地  桐生市
受賞年度  平成30年
左官の伝統工法である小舞下地(こまいしたじ)工法、鬼瓦の影盛漆喰(かげもりしっくい) 工事、洗い出し工法のスペシャリストである。伝統工法に改善を加えた現代工法を駆使し、桐生市の重要伝統的建造物群保存地区の修理保存や、前橋市の臨江閣の改修工事など、数多くの文化財の修復や保存も手がけている。
左官
野村 裕司
さん

左官の道


父の姿を見て高校卒業後に自然と同じ左官を志した。高校は商業高校であったため、野村左官店で一から技能を磨いた。はじめは思うように仕事を進められず苦労したが、お客さんの喜ぶ姿を見られたり、褒められたりすることで仕事が好きになった。

(一社)日本左官業組合連合会から推薦され、海外技能評価技法研修で、平成26年度より左官の需要が高いカンボジア、ミャンマー、ラオスなどの途上国において、技術指導を行っている。特にラオスではレンガとモルタルを使用した家づくりで日本式の左官の需要が多く、その普及や技能検定制度の立ち上げを進めるなど尽力している。

後進の育成


長年技能五輪の強化コーチを務め、自身の事業所からも技能五輪全国大会に出場し、銀賞2名、敢闘賞1名を輩出している。技能五輪全国大会の課題は、国際大会に準じたもので、ヨーロッパ式の左官技能が必要となるため、国際的な技能士の育成に貢献する。ただ、日本式の左官技能を若い人に身につけてもらう機会も必要であり、技能五輪全国大会においてそのような課題も取り入れてほしいと語る。

桐生市の伝統的建造物保存


野村さんは地元桐生市の伝統的建造物保存事業にも尽力している。土蔵の古民家の保存のため土壁の修理・保存を行っている。通常の家屋では左官の材料として石膏やプラスターが使用されるがこの保存事業では土が使用される。材料が異なるため、作業が難しいが、職人は「できません」では通用しない。お客様の希望に沿うため要求されたことは、全て出来なければならないし、そのために日々勉強することが大切である。また、お客様からの質問についても、いったん持ち帰るということではなく、すべて即答できるくらいでないと信用を勝ち取ることは難しい。

社会貢献活動


ものづくりマイスター、全技連マイスターとして小学校や工業高校、職業訓練校などに出向き、左官の技能を見せながら、ものづくりの楽しさを伝える活動をしている。また、平成30年度にはイオンモール高崎において、全技連マイスターぐんま会が主催する「マイスターが教えるものづくり教室」で、「光る泥だんごづくり」という子供向けの体験教室を実施。子供たちや親御さんに左官の仕事について知ってもらい、興味を持ってもらえるよう活動を行っている。
・ものづくりの楽しさを知ってもらい、仕事に興味を持ってもらいたい。

・お客さんを喜ばせることができると、やりがいがあるし仕事も頑張れると思う。