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群馬の技一番
所在地  高崎市
受賞年度  平成27年
日本古来の規矩術に精通し、建築大工として卓越した知識と技能を生かし、若年層への伝統建築技能の継承を志し技能集団のリーダーとして活躍している。長年の研究を通して規矩術と現代の計算、CAD技能等を融合させた新たな工法を確立し、施工期間を短縮することにも成功している。また、ものづくりマイスターとして県内の若年者に技術指導を行うなど、業界内の後継者の育成にも積極的に貢献している。
宮大工
萩原 侯員
さん

宮大工として

曹洞宗月宮山 天桂禅寺 本堂建立工事
曹洞宗月宮山 天桂禅寺 本堂建立工事
萩原さんは、先代が始めた大工の道を志し、高校卒業後、現代の名工受賞者である故田子光一郎氏に弟子入りし、16年間、修行を積んだ。その間、師匠からさしがね、定規、ぶんまわし(コンパス)などを用いて、建築物の構成や構造部分の形状を立体幾何学的に求め作図する規矩(きく)術を習得した。
その後、師匠からただ一人暖簾分けを許され、宮大工として多くの社寺建築に携わり、沼田市の天桂禅寺の本堂建立工事などを手がけた。日本の社寺建築では、屋根曲線が美しいことが一つの特徴であるが、「このような大きな建築物であるほど、大工の経験と感性がその美しさを左右する」と萩原さんは語る。

文化財復元に尽力

仕事場にて
仕事場にて
一方、萩原さんは、日本伝統建築技術保存会の伝統建築技能者として、文化財の建造物の保存にも力を入れている。現在工事が進められている萩原さんの地元、高崎市箕郷町の国指定史跡箕輪城保存整備事業で、棟梁として郭馬出西虎口門復元工事に携わっている。このような工事は、文化財の多い京都や奈良の宮大工が担当することが多いとのことであるが、「地元の宮大工による工事で、地元の方の期待も大きい」と、この復元工事には力が入る。

選手を日本一に

技能五輪全国大会優勝選手と
技能五輪全国大会優勝選手と
萩原さんの活動の幅には目を見張るものがある。平成25年に(一社)全国技能士会連合会の全技連マイスターに認定され、中堅技能者を対象に、講師として全国で講習・実技指導を行っている。
また、平成21年から、群馬県建築業組合連合会の技術対策部長を務め、技能五輪全国大会の群馬県代表選手を指導し、これまで建築大工部門で5名の選手を入賞させた。特に、平成27年度の第53回技能五輪全国大会では、選手を日本一に導いた。「これまで自分が先輩から教えてもらったように、後輩に教えているだけ」「日本一になった選手は自分の20代の頃よりはるかに技能が上」と謙遜する。

子ども達へものづくりの楽しさを

ものづくり体感事業
ものづくり体感事業
萩原さんはものづくりの普及活動にも広がっている。ものづくりのイベントには積極的に参加し、ものづくりの楽しさを伝えている。小学校も訪問し、子ども達に「かんな」を持たせ、木材を削らせる。「全員が大工になってほしいとは思っていない。子供が成長したときに、何人かでもこの経験が頭の片隅に残っておいてくれればいい。種を植えなければ芽はでない」「種を植えても、芽が出るまでには、天日にあて、水をやり、肥料をやらなけばならい」
平成25年には「ものづくりマイスター」にも認定され、活動の幅はますます広がっている。
「仕事とは、神・仏に仕える事」

「自分の仕事に誇りを持つ」

「そのために自分の仕事の歴史を知るべし」

「一より習い十を知り、十よりもどるもとのその一」