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群馬の技一番

 

 

田園風景が広がる吉井町に工房を構え、普段は一人で仕事をしている木製建具製造工・高田年三さん。しかし「従来の修行方法では日本の伝統が消えてしまう」という危機感から、20年にわたり毎週一回自らの工房で「組子研究会」を開催してきた。

 

就職前の学生からベテランの職人まで幅広い面々が集い、建具製造の基礎的な技術から、釘を使わず木を組み付ける”組子”という高度な技術まで学ぶことができる同研究会。あくまでも「先生と生徒」でなく、対等な「仲間」として技を高めあうことを目的に集まる若手技能者たちに話を聞いた。

 
 

「全部つながっていて全部難しい」

現在、職業訓練校に通いながら組子研究会に通っている大久保さん。ここに通い始めたきっかけは、授業の一環で訪れた県の展示会で高田さんと出会ったこと。仕事の話だけでなく、日頃のニュースやそれに対する意見を話し合うこともでき「人に恵まれている」と感じているそう。「いつか自分が作ったものでお客さんに喜んでもらいたい」と修業一筋の日々を送っている。

 

「残せるようなものを作りたい」

大久保さんと同じく、職業訓練校に通っている江原さん。「建具屋は家具も作れるけれど、家具屋は建具を作れない」という言葉を聞き、建具の仕事をする決意を固めたそう。「まだ作品を作る段階ではないけれど、道具を少し上手く砥げただけでも嬉しい」と深夜まで及ぶ研究会で腕を磨き続けている。「技術を身に付け、自分もいつか人を育てられたら」とものづくりの未来を見据えている。

 
 

 

「16人いれば16の意見がある」

現在、木工店の二代目として組子研究会に通っている宮下さん。前職の家具業も含め職人歴12年となる今でも「まだまだ分からないことだらけ」だそう。「ここに来る理由は仲間がいるということが大きい。自分一人では分からない・出来ないことが出来ていると思う」。建具の仕事の魅力は「木でものを作ること」。「お客様に喜ばれることは嬉しい。この人に任せれば安心と言われたい」。

そんな若手技能者を少し離れた場所から見守る高田さん。

「聞かれたら教える程度。荒行を越えるとなんでも楽になる。そこをやらないで逃げて回ったら駄目」と、一人一人の自主性を尊重する姿勢を貫いている。切磋琢磨して培った技術はコンテストでも高く評価され、メンバーの多くが数々の賞に輝いてきた。